コラム

コンサル出身者が事業会社企画職で活躍できる理由

1. はじめに:コンサル出身者のキャリアパスとしての事業会社企画職

近年、戦略系・総合系を問わず、コンサルティングファームから事業会社の企画職へ転職するケースが急増しています。リクルートワークス研究所の調査(2023年)によれば、30歳前後のコンサル出身者が最も多く転職している先は「経営企画」「事業企画」などの企画系ポジションです。

背景には、以下のような動機があります。

  • より中長期的な視点でビジネスに関与したい
  • 実行フェーズにも責任を持ちたい
  • 社内に深く入り込み、組織づくりに携わりたい

一方で、「コンサル出身者は事業会社に馴染めないのではないか?」という懸念も根強くあります。本稿では、この点を冷静に掘り下げ、なぜコンサル出身者が企画職で高く評価されるのか、そして活躍できるのかを論理的に解説します。

2. コンサル出身者が持つ、転職前から評価されるスキルセット

事業会社の企画職に求められる役割は、企業の中長期的な成長を見据えた「構想の立案」と、その構想を実現するための「実行支援」です。これはまさに、コンサルタントが日常的に担っている業務と重なる部分が多くあります。以下に、特にマッチ度が高いスキル群を紹介します。

仮説思考と構造化スキル:曖昧な課題に立ち向かう

事業会社の企画職は、「何が問題かが分からない」状態に対して仮説を立て、論理的に構造化してから分析・解決を進める必要があります。これはまさにコンサル出身者の得意分野です。

彼らは、ファクトが不十分な状況でも論点を整理し、問題の核に迫る力を持っています。特に新規事業や組織変革など、不確実性の高いタスクにおいて大きな力を発揮します。

ファクトベースの定量分析と説得力

コンサルタントは、仮説に対して定量データを用いて検証し、説得力あるストーリーに落とし込む訓練を受けています。事業会社でも、KPI設計や事業戦略の妥当性検証、ROI算定といった場面で「数字で語れる人材」が求められています。

また、投資提案書・社内稟議・経営報告といった高品質な資料作成能力も、評価されるポイントです。

スライド構成力とストーリーテリング

多くの事業会社では、社内資料の質にばらつきがあり、経営層の納得を得られるロジックや見せ方を構築できる人材は限られています。コンサル出身者の「短時間で構造化し、意思決定者に刺さるメッセージを伝えるスキル」は、まさに即戦力として重宝されます。

特に中期経営計画やM&A、事業再編など「経営の節目」で求められる資料作成・説明能力は、非常に高い評価を得ています。

ステークホルダー対応力:部署横断の調整ができる

コンサルタントは、経営陣・現場・関連部署・外部パートナーといった多様なステークホルダーと並行してやり取りを進める能力を鍛えています。これは、事業会社において「組織横断プロジェクト」を推進する際にそのまま活かせるスキルです。

加えて、「相手の立場を尊重しながら論点をすり合わせ、着地点を探る」ファシリテーション力は、部署間の利害調整を求められる企画職にとって極めて重要です。

タフな労働環境で培われた自己管理と成果志向

コンサルティングファームでは、高いプレッシャーの中で短納期・高品質を実現する必要があります。その過程で培われた「セルフマネジメント力」「納期意識」「責任感」は、事業会社でも評価されるポイントです。

とくに最近では、企画部門にも「自走力」「成果へのコミットメント」が強く求められており、コンサル出身者のマインドセットは極めて親和性が高いといえます。

3. 事業会社で求められる「補完的スキル」と適応ポイント

とはいえ、コンサル出身者がそのまま万能というわけではありません。活躍を持続させるためには、以下のような「組織内プレイヤーとしての力」を意識的に強化する必要があります。

実行力と現場対応力

企画職は、戦略を描くだけでなく、実行段階まで責任を持ちます。その中では、社内リソースの獲得・関係部署との連携・オペレーションの設計・定着までを地道に進めることが求められます。

「戦略の正しさ」よりも、「いかに現場に実行してもらうか」の方が成果に直結する場面も多く、コンサル出身者にとってはある意味「泥臭さ」が求められるフェーズです。

社内文化・人間関係への配慮

もうひとつのハードルが、「社内の空気感」です。コンサルでは論理が通れば実行できたことが、事業会社では「人間関係」「過去の経緯」「部署間のしがらみ」などが障害となることもあります。

「正論で変えようとしすぎる」のではなく、社内の文脈を読み、小さな成功を積み重ねて信頼を得る姿勢が重要です。

4. 事例紹介:事業会社で成功するコンサル出身者

事例1:A氏(戦略ファーム出身、インターネット企業 事業企画)

A氏はコンサルでの経験を活かし、デジタル広告領域でのターゲティング戦略を立案・実行。自らSQLで分析を行い、マーケ部門と連携して施策を展開した結果、半年でCPAを20%改善。戦略立案から現場支援まで一貫して成果を上げ、社内での評価を高めています。

事例2:B氏(総合系ファーム出身、老舗メーカー 経営企画)

B氏は海外事業の収益分析を行い、非効率な地域拠点を統廃合。加えて、新規市場開拓に向けた資源再配置を実施。経営陣との対話と同時に、現地法人との調整も丁寧に行うことで、戦略実行のリアリティを確保しながら全社的な変革をリードしました。

5. まとめ:コンサル出身者は“即戦力”であり、さらなる飛躍が可能

本稿で述べた通り、コンサル出身者は仮説思考・定量分析・資料構成力・マルチステークホルダー対応といったスキルをすでに有しており、事業会社の企画職において極めて高い親和性を持っています。

もちろん、実行フェーズや社内調整といった部分では新たに学ぶこともありますが、それらは補完可能な要素です。むしろ、「既に持っている武器をどう活かすか」「どう信頼を築くか」が、成功の鍵になります。

今のキャリアを活かして次のフィールドへ踏み出したいと考える30代のビジネスパーソンにとって、事業会社の企画職は高度な戦略性と実行力が求められる刺激的な職場です。

あなたがコンサル出身者であるならば、すでに半分は勝っているのです。

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