事業会社企画職転職成功者のリアルストーリー
― 思考と行動を接続する「設計者」への転換
目次
第1章:なぜ今、企画職転職が注目されているのか
いま企画職への転職が大きな注目を集めているのは、単なる偶然ではありません。背景には、企業経営そのものが大きな転換点を迎えているという構造的な要因があります。
かつての企業活動では、成長戦略の描き方も組織運営も比較的直線的で、「右肩上がりの需要に応える」「モノを多く売る」といった明快な方向性が通用しました。しかし現在の日本企業を取り巻く環境は、人口減少による市場縮小、国際競争の激化、そしてテクノロジーの加速度的進化によって、極めて複雑なものとなっています。
こうしたなかで企業が求める人材像も変わりました。単に与えられた仕事をこなす人ではなく、変化の本質を見極め、それに対して仮説を立て、構造的な打ち手を描き、さらに社内を巻き込んで実行に移すことができる──そんな「構想と実行の橋渡しができる存在」が必要とされているのです。そして、まさにその役割を担うのが事業会社の企画職です。
転職市場においても、企画職は近年顕著に増加しており、特に中途採用では、30代前後のビジネスパーソンに対するニーズが非常に強まっています。この年代層は、実務経験に裏打ちされた即戦力性を持ちつつも、企業文化に順応する柔軟性も兼ね備えているため、企画部門の中核人材候補として非常に理想的な存在と見なされているのです。
第2章:事業会社企画職の実態と求められるスキル
企画職とは、何をする職種なのか。業界や企業ごとに微妙な違いはあれど、本質的には「企業活動の変革を設計し、実行を通じて成果を生む」ことが役割です。つまり、戦略立案と業務推進を結びつける、“変化の設計者”としての役割を担います。
例えば経営企画では、事業ポートフォリオの最適化や中期経営計画の立案、業績KPIの設計といった業務が中心となります。事業企画では、新たな事業テーマの探索、収支シミュレーション、市場仮説の検証といった活動を担う場面が多いでしょう。商品企画や営業企画であっても、単なるモノ作りや売上施策ではなく、常に顧客ニーズやビジネス構造に向き合うことが求められます。
そのような業務の中で必要となるのは、まず論理的な仮説構築力です。与えられた情報から構造を見抜き、課題を定義し、打ち手を導き出す力。次に必要なのは、組織を横断的に動かす推進力です。各部門の思惑や立場の違いを踏まえたうえで、合意形成と巻き込みを図りながらプロジェクトを進めていくスキル。さらに、データを扱う定量的な視点と、現場の温度感を踏まえた定性的な判断力も欠かせません。
こうしたスキルは、必ずしも「企画職」というラベルのついた職歴からしか得られないものではありません。実際、営業やマーケティング、コンサルティングといった異なる職種出身者の中にも、優れた企画職転身例は数多く存在します。重要なのは、どのような経験をしてきたかではなく、それをどのように企画文脈に再編集できるかという点にあるのです。
第3章:転職成功者A氏のストーリー(商社営業→総合電機の事業企画)
A氏は総合商社での営業経験を経て、30歳を目前にして総合電機メーカーの事業企画部門に転職しました。営業として担っていたのは、BtoB商材の提案活動とサプライチェーン構築。その中で、顧客との議論を通じて得られる「課題の本質」を起点に、自社の商品設計や事業戦略に対する関与意識が強まり、「部分ではなく全体を動かす仕事」に挑戦したいと考えるようになったといいます。
転職活動においては、自らの経験を「市場ニーズの構造化」「顧客との仮説検証」「社内外ステークホルダーの巻き込み」といった観点で整理。事業企画として求められるスキルに翻訳して伝えることで、即戦力人材として評価を得ました。
現在は、既存事業の再成長に向けたパートナー戦略の立案と実行を担当。営業で培った現場感覚と、事業企画としての上流視点を融合させながら、社内外の調整をリードしています。
第4章:転職成功者B氏のストーリー(戦略コンサル→通信会社の経営企画)
一方のB氏は、外資系戦略ファーム出身。多くの企業変革支援を経験するなかで、「外部から支援する立場」ではなく「中に入り、自ら実行を担う側」へと軸足を移したいという思いが強まり、転職を決意しました。
入社したのは、通信業界における大手プレイヤー。経営企画部門でKPI設計や中計の刷新、DX戦略の整備などを担当するなかで、経営陣との議論だけでなく、現場部門との泥臭い折衝までを担っています。
面接では、戦略立案だけでなく、「誰をどう動かしたか」「現場とどのように合意を形成したか」という観点でプロジェクト経験を語り、単なる“分析人材”ではないことを強調しました。経営と現場の橋渡し役として活躍する彼は、「戦略を描ける実行者」として、社内でも早期にポジションを確立しています。
第5章:成功者に共通する準備と選考突破のポイント
この二人の転職成功ストーリーには、いくつかの共通点が見られます。第一に、「志望動機の構造化」です。ただ企画職に興味がある、という表面的な動機ではなく、「業界構造の変化」「自社の戦略」「自分のスキルの接続点」といった多層的な背景を語り、自分がなぜその企業・その職種にフィットするのかを論理的に説明できていました。
第二に、「職務経歴の再構成」です。営業での提案活動を仮説検証プロセスとして捉えたり、コンサルでのPJ推進を意思決定支援として再編集したりと、職歴を“企画職の文脈”で語る工夫が随所に見られました。
第三に、「面接でのストーリーテリング」です。どんな課題に向き合い、どんな構造を見抜き、どう動いて、どんな結果を得たのか。その一連のプロセスを具体的に語れるかどうかが、説得力のある候補者としての鍵となっていました。
第6章:企画職を目指す人のキャリア設計戦略
最後に、これから企画職を目指す方に向けて、キャリア設計上のポイントを述べておきます。
まず大切なのは、「現職の中でどのように上流工程の経験を取りに行くか」です。業務改善提案、新商品開発への関与、戦略資料の作成など、企画的要素を含む仕事を意識的に取りに行くことで、経験の幅と視座を高めることができます。
次に意識したいのは、「経験の意味づけ」です。何を学んだかだけでなく、それが次のステップにどうつながるのか、自分にとってどう意味があったのかを言語化する癖を持つことで、職務経歴書や面接での訴求力が格段に高まります。
そして最後は、「転職後の視点」を持つこと。企画職になってから、どのように組織に貢献し、どんなテーマで価値を発揮したいのか。単なる“移動”ではなく、“目的ある進化”としての転職にすることで、自らのキャリアに深みと一貫性が生まれていきます。
まとめ:設計者としてのキャリアに向き合う
企画職転職とは、単に職種を変えることではありません。それは、仕事の捉え方そのものを変えることです。誰かに与えられた業務をこなすのではなく、自ら課題を見つけ、打ち手を描き、組織を動かす。そうした“設計者としてのキャリア”を志すことにほかなりません。
営業でも、コンサルでも、他の職種でも、そこでの経験には必ず企画につながる要素があります。大切なのは、それに気づき、構造化し、言葉にして伝える力です。自分のキャリアを「設計できる人」こそが、企画職というフィールドで真の意味で活躍できる人材なのです。
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