〈未経験からの戦略コンサル内定者執筆〉コンサル思考の実践-バスルーム閉じ込め事故から脱出する-
はじめまして、てでぃです。大学を卒業後、大手メーカー、スタートアップを経て、今春から戦略系ファームで働きます。今回は転職活動の過程で学んだ「コンサル思考」について記事にしました。コンサル思考はいろいろな場面で役に立つということを分かりやすくお伝えするために、実際に私の内定期間中に起こったケース(事故)をもとに書いてみました。最後まで読んでいただけると幸いです。
目次
コンサル思考は誰もが身につけるべきである
コンサル思考によって自らの命の危険を脱した
「コンサル思考」を使うことで自らの命の危機を脱した経験がある。こういうと大げさかもしれないが、実際コンサル思考が身についていなければ、私は助からなかったかもしれない。
本記事では、そもそもコンサル思考とは何かということ、また私が経験した事故とそこからコンサル思考を使っていかに窮地を脱したかについて書いていく。
コンサル思考はコンサルワークのみならず、あらゆる問題解決に役立つ
先に本記事の趣旨を述べると、「コンサル思考」はコンサルタントの仕事だけでなく、日常のあらゆる場面で起こる問題解決に応用できるということだ。コンサル思考を身につけるメリットとして、コンサル転職の成功・コンサルタントとしての活躍はわかりやすい。加えて、コンサル思考はあなたに起こる様々な問題解決の一助となるかもしれない。
コンサル思考とは何か
コンサル思考は、後述の3つのプロセスに沿って行われる。
①全体像をとらえ論点で考える
まず最初のステップは「全体像をとらえ論点で考えること」。問のスコープ(範囲)を明確にし、どのスコープにおいて解を出すのかを定義することだ。その後、定義したスコープ内で重要な論点を網羅的に構造的に列挙していく。網羅的にというのは、抜け漏れなく幅広く考えること、構造的にというのは、因果関係や全体・部分の関係がわかるように論理的に考えることだ。
②仮説を立てクイックに検証する
次に、仮説を立て検証をする。仮説というのは、「○○すれば解決できるかもしれない」という予想のことで、現時点で正解に近いと考え得る選択肢のことである。また、検証するときに大事なことは、検討に時間をかけすぎず、素早く検証作業に入ることである。
③検証結果を踏まえ仮説を修正する
仮説はよく外れる。そのため、検証の結果、より良い選択肢の可能性が見つかればそちらへ軌道修正をする必要がある。仮説の立案→検証→修正を繰り返すことにより、より納得感のある仮説へと近づいていく、このサイクルを早く回すことが重要である。
バスルーム閉じ込め事故での実践
上述の思考プロセスを私がどのように実践したかについて順を追って書いていく。
事故発生までの背景
私はヨーロッパを旅行中、とあるホステルを利用した。そのホステルにはドミトリールーム(3つの2段ベッドがあり、6名まで一度に宿泊できる)があり、その1室に宿泊した。室内には、寝室とバスルームがあり、その間は方開きタイプの木製のドアで区切られていた。寝室には当時私以外誰も宿泊しておらず、その日のチェックインの予定もなかった。バスルーム内には、シャワースペース、トイレ、洗面台があり、窓はなかった。
午前8時、シャワーを浴びるためにバスルームに入室。その際、うち側から扉を閉めた。シャワーを浴び、バスルームから出ようとしたその時、予期せぬ事象が発生した。なんと扉のドアノブが外れてバスルームに閉じ込められてしまったのである。
問題解決の実践①全体像をとらえ論点で考える
私は最初パニックになり、何も考えることができなかった。スマートフォンなどはバスルームに持ち込んでおらず、誰とも連絡は取れない。できたのは何度もドアをたたいたり蹴ったり、大声で助けを求めることのみであった。しかし、ドアはびくともせず、私の声は誰にも届かなかった。おそらく数時間たって冷静になり、私は現状を整理し、取りうる可能性を落ち着いて思考することにした。
まず今自分が考えるべき課題は、「バスルームから脱出するためにはどうするべきか」。そのためには、大きく①誰かに助けてもらうにはどうするべきか、②自分自身で脱出するためにはどうするべきか、の2つの論点について考える必要があった。
①については、バスルームの外への直接的な働きかけとして、❶大声で叫ぶ、❷ドアを叩く、中からは、❸非常ボタンを押す、❹火災警報機を鳴らす、などがオプションとしてあった。
それらのオプションを整理すると以下のようになった。
| 実現可能性 | 期待効果 | 評価 | |
|---|---|---|---|
| ❶大声Helpと叫ぶ | ×:体力が持たない | 〇:声が届けば来てくれるはず | 体力と相談 |
| ❷ドアを叩く | ×:体力が持たない | ×:救助要請と認識されない可能性あり | やらない |
| ❸非常ボタンを押す | ×:ボタンがない | ー | ー |
| ❹火災警報機を鳴らす | △:ワンチャン? | 〇:鳴れば誰かが来るはず | やってみよう |
②については、窓がないため、脱出経路はドアしかなく、❶ドアを外す、❷ドアを破壊する、がオプションとなった。②全体について、いずれを取っても器物損傷が発生するため、①のオプションを検証しきった後に実施することにした。
| 実現可能性 | 器物損傷の程度 | 評価 | |
|---|---|---|---|
| ❶ドアを外す | ×:びくともしない | 〇:比較的小さい | 一定検証して無理なら諦める |
| ❷ドアを破壊する | △:穴をあけて脱出できる可能性あり | ×:比較的大きい | こちらにリソース全振りする |
また、タイムラインに関しては3日間とした。チェックアウトの時間は約2日後。管理がずさんなホステルなので、チェックアウトの時間に必ず誰かが部屋の様子を見に来る補償はない。また、しばらく使用されていなさそうな部屋だったため、ほかの宿泊者が当面いないかもしれない。また、災害発生から72時間で生存率が急激に低下するという話は聞いたことがある。ただ水を飲めることが不幸中の幸いだった。
問題解決の実践②仮説を立てクイックに検証する
上記のオプションの整理により、最初に検証するべきアクションは、「①ー❹火災警報機を鳴らす」に決定した。火災報知器がある場所に蒸気が充満するよう、シャワーの湯を出しっぱなしにした。どこかでバスルームのドアを閉めずにシャワーを使って、部屋の火災報知器を鳴らしてしまったという話を聞いたことがある。それを意図的に行い、管理人を呼ぶ算段だ。
しかし、バスルームに充満した蒸気のせいでサウナ状態となり、わずかな通気口から呼吸をするも、徐々に息苦しくなる。一方、報知器はまったく作動しない。このままでは体力を消耗して力尽き、「②ー❷ドアを破壊する」を実施できず最悪の事態につながりうると考え、アクションを停止した。
問題解決の実践③検証結果を踏まえ仮説を修正する
ここで仮説を修正し、「①ー❹火災警報機を鳴らす」は不可であるため、「②ー❷ドアを破壊する」にリソースを全振りすることにした。
厚みのある木製のドアだったが、下部に通気口があり、格子状の金具が付されていた。私はここに望みをかけることにした。トイレの壁にU字状の金属製の手すりが設置されていることに気づいた。手すりは大きく太い4本のねじで壁と接着していたが、それらすべてを少しずつ取り外し、手すりを外すことに成功。この手すりを使って格子状の金具を押し外し、通気口に手すりを突っ込み、てこの原理の要領でドアに力を加え、少しずつ着実にドアに穴を開けた。
そして私はその穴から脱出することに成功した。
淡々と記載したが、脱出までには実に10時間以上を要した。
脱出したころにはすでに夕食の時間になっていた。絶望の窮地から生還したあとのごはんの美味しさは今でも鮮明に覚えている。
(ちなみに損害賠償は当然、ホテル側が全額支払うことになった)
最後に
この経験から、コンサル思考は様々な問題に対処できるということがわかった。
皆さんも、ぜひコンサル思考を養い、あらゆる場面で問題解決に勤しんでいただきたい。(この件のせいでしばらくドア恐怖症という後遺症が残ってしまい、今でもドアノブの正常動作のチェックは欠かせない。)
関連記事